スパークリング・ハスタティ

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 エリコーン・コントラバス対艦複合射撃システムが束ねた砲塔を屹立させる。ゼロ距離射撃用量子機関砲から荷電粒子砲、対艦超電磁砲、超長距離対艦誘導弾まであらゆる砲撃に対応している。 「目標、ベクター防衛保障社本社艦隊旗艦『ブリオーレ』 距離、二万」  グレイスが座標データを揚陸艦の射撃統制システムに転送する。  その時であった。  エキゾチックニードルの表面を押し割って、巨大な毛むくじゃらの手がいくつも飛び出した。  人間の腕である。そいつは十万トンの航空戦艦をらくらくと掴み取り、割れ目の中に引きずり込もうとした。  限界突破したアストラルグレイス号がハリネズミのごとく砲身やミサイルランチャーを逆立てて連射する。  そいつの肘にあたる部分が白熱するが、ひるむ様子はない。  トムキャットを前面に押し立てるサンダーソニア号が、ひらひらと平手で払われ、ニードルの中に吸収されていった。 「この! ゼネラル・ファイア!!」  シアが、コントラバスシステムを撃ちまくる。迫りくる拳骨のふしぶしに閃光がきらめく。  確かに当たってはいるが、ノーダメージだ。 「えっ?!」  シア・フレイアスター号の舷窓が闇に包まれ、どん、と横揺れが来た。  艦ごとシェイクされる。シアは戦闘指揮所の中を転げまわり、身体のあちこちに傷を作った。  口の中が血の味でいっぱいになった。  シアはそのまま意識が遠のいていくのを感じた。
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