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センサーを通じて戦闘純文学者三名の意識喪失を確認したチャタヌーガは、眼前で進行中の苦闘をもとに独自の戦況評価をまとめ、先進導航機へ送信した。
「デストロイド指数、算出不能? 未知の敵は生物兵器の一種とおぼしき挙動をしつつも、一切の物理的破壊が通用せず」
レギオン戦法の最終列を担うシアになり替わって指揮を執っていたコヨーテは、レポートを見て絶句した。
量子スキャナーと光学センサーによる非破壊検査の結果は、敵が生物であることを明確に否定していた。さりとて、内部に駆動装置のたぐいも見つからない
彼女が手をこまねいている間に、ライブシップはすべて柱の表面に吸収されてしまった。そして、いまいましい触手どもとニードルは虫に食われたように朽ち果てて、消えようとしていた。
「あれは?!」
最後の一辺が虚空に消えようする頃、コヨーテはニードルの底に黒光りする枠を見つけた。扉が開き、通路の照明が招き入れるように点滅している。
一辺は三十メートルほどであろうか。先進導航機がギリギリ入れそうだ。躊躇することなく、機首を向ける。
彼女がスロットルを引こうとした瞬間、後ろから呼び止められた。
『オイテイカナイデ……』
チャタヌーガが支援要請をしきりに送信している。他のゲディスバーグ改級たちも同様だ。
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