小狼姫、がんばる!

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「三時の方向、五時の方向に大規模な重力波探知! デストロイド指数、比較判定、ベクター防衛保障社本社艦隊旗艦『ブリオーレ』と対等! 距離八千」  間髪を入れずセンサー共同サブシステムが送りオオカミの出現を告げる。 「デストロイド指数、比較判定、カルマン商会の陣頭指揮戦艦『ヨアヒム』と対等、距離一万二千」  同時に量子ネットワークを通じて投降勧告が伝えられる。  なすがままに殺されるわけにはいかない。彼女は腹をくくると艦隊ガールズたちに激を飛ばした。 「わたしは名誉軍神といわれる女よ! 血の花を咲かせてあげる」  先進導航機ブルーピーターがベクターノズルを全開にする。水防ダムのごとき巨大なブリオーレが迫るなか、三隻の戦艦が勇猛に突出していく。  鋼鉄の断崖絶壁に無数の小窓が開き、誘導弾の行列が放たれる。  戦艦チャタヌーガの五十口径砲が火を噴く。焼夷榴弾がさく裂し、ミサイルをことごとく飲み尽くす。 「フッ、どうやら成金は誘導兵器頼みのようね?」  嗅覚鋭いコヨーテは相手の弱点を見切るや、舌なめずりをして襲い掛かる。  チャタヌーガを前衛につけ、ブルーピーターが斬りこむ。左翼にマナサスギャップ、右翼にヴィックスバーグ。五十口径砲計六門が頭をもたげる。     
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