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センサーが感知できない何かに絡めとられた。
コヨーテは三隻に指令を送っても返事が得られないどころか、自分の機体すら制御できない。
操縦席がまばゆい光に満たされ、得体のしれない力が彼女の身体の中に入って行った。
■ カルマン商会
清々しいほどに透き通った闇が世界を満たしていた。
ばしゃっと下半身に冷たい水を浴びせられ、一気に目が覚めた。短く悲鳴をあげ、身体に貼りつくべき布の感覚が感じられない事に気付いた。
背筋が凍るような寒気と突き刺さる視線を感じた。
それも、ねちっこい異性特有の、内蔵までえぐり出すような目線。
根源的な恐怖が湧き上がり、一目散に逃げ出したくなる。しかし、足ががっしりと固定されている。
もし、彼女の隣に甘えられる相手がいれば四の五の言わずにしがみつくだろう。が、頼れる存在はいない。
「目が覚めたか」
声が頭蓋内に響き、割れるような痛みが走る。
「コヨーテ・枕崎」
名前を呼ばれて更に危機感が募った。見知らぬ人物に素性がばれている。彼女はギュッと身体を縮めた。
心臓がバクバクして虫唾の様な痺れが太腿の付け根、胸、うなじを這いまわる。
「すっかり女になってしまったのか」
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