室内鳥類学者と爆誕☆艦隊が?るず♪

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 心の奥の片隅に封印したはずの葛藤を引きずり出された彼女は苛立つ。 「いけないの? わたしは三日間戦争で死んで、魂のレベルで女に書き換えられたわ」  下品な男の笑いが暗黒のそこかしこに響き渡る。 「嫁(シア)に半ば脅されて女性兵士用クローン培養槽に入ったのだろう? それがお前の愛情か。立場的に弱かったお前が自身の気持ちを押し殺して」  容赦なく古傷をえぐられて、コヨーテは憤然とする。  しかたなかった。フランクマン帝国に殺された夫婦は総統の野望を阻止するために肉体が必要だった。シアの権限で使える唯一の蘇生装置は魂の性別を肉体と一致させた。  女が男以上に働く時代だ。別に構わないとコヨーテは思った。おなじ性別同士でしかわからないこともある。妻の悩みを共有してあげられるではないか。いいことづくめだ。  彼……彼女はそう思い、気がつくと考えを口に出していた。 「すっかり落ちぶれてしまったな! 枕崎。それでも君は『遠い呼び声』の作者か?」  彼女がまだ売れない男性作家であった頃の代表作だ。オオカミのおこぼれで細々と生きているのに害獣として狩られるコヨーテの悲哀を切々と謳った。大ヒットと言えずとも同情票でそこそこ売れたした。  それを見知らぬ男があげつらっている。     
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