2人が本棚に入れています
本棚に追加
「宗旨替えしたとでもいいたいの? 弱者擁護の急先鋒が、今では嫁の尻に敷かれているとでも?」
「そうだ。君は自分を欺く奴、正当な理由なくさげすむ奴、強い物に巻かれていじめを正当化する奴、努力した結果の上前を撥ねる奴。そいつらを容認できるか?」
「何を言ってるの。そんなの許せないに決まってるじゃない」
「権力にへつらい、黒を白と言いくるめ、誰かの欲望や気まぐれで生まれた主流を正義だと勘違いし、他人に押し付け、従わぬ者やその家族を攻撃する連中を、生かしておけるか?」
「死ねばいいとおもうよ!」
「君の愛する家族にいわれのない罪をなすりつけ、追い詰めるよう周囲を欺き、迎合させ、扇動する者に殺意を抱くか?」
「嫁や娘たちをそんな目に合わせる奴は八つ裂きにしてやるわ!」
「なるほど。合格だ」
さっと暗幕が降り、舞台風(ぶたいかぜ)がコヨーテの裸身を洗う。彼女の四肢はロープで吊るされていた。
赤い絨毯を敷き詰め、テーブルクロスの上にはバイキング方式の料理が並び、身分の高そうな男女がめいめいの皿を運んでいる。
自分のいる場所がヨアヒムの艦内だとすぐに分かった。ギルドの基地祭で妻と見学したことがある。
しかし、なんという事だ。漏れ聞こえる談笑から察するに、牛豚鶏はおろか馬肉を使った献立がある。
最初のコメントを投稿しよう!