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惑星密室マグロ・ミステリー!
■ 惑星密室マグロ・ミステリー!
「これは宣戦布告に等しい暴挙よ!」
シアが眉間にしわを寄せるのも無理はない。
あのいまわしい三日間戦争のあと、人類圏と 旧家畜類が停戦協定を結んだ結果、知性を認められた哺乳類を殺して食べる事は全面的に禁止された。
口にできる動物性タンパク質といえば、魚介類に限られてしまったからだ。
中央諸世界で採れるぷりぷり太った尾頭付きの天然マグロ三百キロを二十七世紀の金相場に換算すると重さ百キロ。一辺は十八センチくらいの塊になる。
しかも、厳しい配給制が敷かれている。
消えたマグロはフレイアスター家が感謝祭のために、中央諸世界の女帝陛下から賜った特別なものである。
シアたち生きた航空戦艦は特権者戦争直後から三日間戦争が終わるまで人間に使役されていたため、独自の国家を持たない。拾ってくれたのは、惑星「わし座知性極」を総べる女帝ラ・カイユであった。
その恩寵に感謝の祈りを捧げ、ともに陛下と糧を分かち合う日が十二月二十五日の感謝祭であった筈が、とんだケチがついた。
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