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「こまったわね。明日の午前零時までにマグロ十キロを調達しないと女帝侮辱罪に問われちゃう」
グレイスが網膜のデジタル表示を確認した。時刻はグリニッジ標準時で二十四日の午後九時過ぎ。わし座知性極首都との時差を勘案し二十一時間の猶予がある。
「マグロなんて超生産しちまえばいいんでないの?」
コヨーテがわかめの貼りついたサラダボウルをフランスパンの切れ端でぬぐっている。ゴマだれをたっぷり含んだかけらを、ぽいっと口に運ぶ。
「あなた! 陛下のマグロを何だと思ってるの?」
「んが!」
シアの怒号に喉を詰まらせる。コヨーテはライブシップではないので嫁と温度差があるのはある程度仕方ないことだが、無神経にもほどがある。
■ まずは現場の基本から!
だが、こんな所で言い争う間に刻々と時間が過ぎていく。長女が二人の喧嘩を仲裁し、さっそく家族で手分けして初動捜査にかかることになった。
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