優しい嘘、悲しい嘘<愛は幻>

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「待ちなさい。アンタ!泥棒猫!これで済むと思ったら大間違いよ!アンタの事、訴えてやるから……」 奥さんは怒りがおさまらず、顔を真っ赤にして私に怒鳴った。 「おい。俺が悪かったんや。この人にも旦那さんがいてるから。お互い様なんや。この人の旦那さんかて、俺を訴えてくるで?」 「かまへん。もう何もかも許されへん」 「奥さん、すみませんでした。ごめんなさい」 私は再度、真剣に頭を下げた。 「謝ったら済むんか?」 「いえ……」 「もう、ええわ。あほらしい」 奥さんは泣きながら娘の車に乗り込んで帰っていった。
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