第1章 仮面人間のストレス

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第1章 仮面人間のストレス

夜空を見上げて輝く星に心をうばわれるも、心は完全に死んでいた。毎日が同じ日々の繰り返し。いや、正確には変化しているのに、周りの変化さえも気付けなくなったのかもしれない。 わたしは誰にも一定の距離を保ち、心の空間に誰かを入らせない。そうでもしなければ、この社会でやっていくのは難しいのかもしれない。 高校を卒業し、美容の専門学校へ行くために上京した。最初は田舎とは違う便利さと広さに憧れた。オシャレな街並み、人、服装、物価の高さ…と驚くことだらけだった。 わたしは今日も学校をサボった。親に申し訳ない気持ちはある。それでもわたしの心の安定を保つためには必要なメンテナンスで定期的にサボる。 平日の昼間、新宿でフラフラとノープランで散歩。1人は気楽で誰にも合わせる必要もない。 女子高生のようミニスカートを履いてスタンスタン音を立てて歩くOL。 手を繋いで敬語を交えながら楽しそうに歩いているスーツ姿の中年おじさんと女子大生。 顔の原型を留めてすらいない濃いメイクをした金髪ギャル。 洋服の全身をピンクでコーディネートし、ぬいぐるみをもっている不思議ちゃん。 谷間を強調した服装でブランドを身につけまくる派手すぎの大学生。 洋服も化粧も髪の毛もすべて自己満でいいのに、どこか誰かを意識している感覚ばかりが波打つように伝わってくる。車のエンジンと人の声で溢れかえっている。 いつからだろう…こんなに生きてるだけで苦しくて、わからなくて、楽しくなくて。生きてるだけでストレスの当たり屋が何度もぶつかってくる。
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