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羽鳥 莉都(はとり りつ)
父はよく躾と言ってよく私をぶった。
母は何も言わずにただ見ているだけだった。
私の思い出に両親と深い物はなく、あるのは劣等感だけだった。
母が亡くなった日から私は父と話さなくなった。
上京して一人で暮らしして父との思い出も薄れていった。
私は両親を捨てたのだと思うことにして仕事に打ち込んで4年目、、
父が死んだと叔母から連絡が入った。
やっと死んでくれたのかと始めは思ったが、なんだか心にぽっかり穴が開いたみたいで不思議と力が抜けていく、会社には父の葬儀による休暇届と有給を使って7日間休むことにした。
一通りの事が終わり私の体は自然と帰り自宅を始めていた、誰が待っていることもなくただ暗い部屋になぜ帰りたいのか、分からない。
ただ、実家のこの家に居たくないだけなのだ、過去の記憶が今にも頭の中から噴き出してきて、頭をぐちゃぐちゃにしてしまいそうになるから、、
叔母さんに雨が降るから明日にするように勧められたが、早く、この家を出たくて無言で出てしまった。荷物も簡単なものしか持ってきてなかったから実家のサンダルもバックに入れてしまった。
バスに乗り、荒れた道を揺れながら進んでいく、窓の外は暗く、暗く、明かりはどこにもない、この道もあの道ももう出会うことはないのだ。
駅に着くとすぐに電車に乗り換え最寄駅まで向かう。電車の窓からは人が住場所の明かりが町をほんのりと照らしている。あの家、この家、どの家も家の中の環境は他人には分からない。それは怖いことのように感じていたら、窓にポツリ、ポツリと雨が降ってきた。
駅に着き、コンビニに立ち寄ると、Lサイズの傘しかなかった。
仕方なくLの傘とカップスープ2個を買って家に向かう。
3日だけ通っていないいつもの帰り道が雨に濡れ、違う顔を見せている。
坂道にさしかかった所で一人の少年が立っている。
こんな雨の中、傘も差さずに子供が一人、、
よく見ると裸足、、、このまま無視していけば関わらなくてすむけど、、、
できない、、
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