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雨と裸足
「どうしたのキミ、なんで雨の中裸足で立っているの?」
少年は何も答えない
「どうしよう、このままだと風邪ひいちゃうよ」
羽鳥には大き過ぎる傘を少年に傾け、雨を遮る
「お父さんやおかあさんは?心配してるよ」
「してないよ」
「どうしてそう思うの?」
「家を、追い出されたから」
「え、それって虐待だよね」
「違うよ、いつものことだから、しばらく外に居れば戻れるから」
羽鳥は不意に過去の自分を思い出した。父が気に食わない事があると殴られ外に追い出された日々を、、死んだ父親が羽鳥の記憶の中に生きていると。
このままではこの子が死んでしまうのではないか、そう考えてしまう。
「ねえ、このまま外で待ってるんだったらうちにこない?外で待つより暖かくて足、居たくないよ」
少年は迷っているようだが、うなずいた。
「よし、決まりだね、裸足だと足痛いでしょ?私のサンダルでよかったら使って」
バックから子供には少し大きいサンダルを取り出し渡した。
「ありがとう、、」
「おうちまですぐそこだから行こう」
「うん、、」
羽鳥は少年と雨の中、坂道を歩いた。父親と過ごした日々を思い返しながら。
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