私と少年

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「ここが私のおうちだよ、ちょっと待っててね、タオル取ってくるから」 「うん」 羽鳥はタオルを手に少年に駆け寄って頭からタオルをかぶせ両手で大きく振った。 「お姉さん、い、いたいよ」 「ああ、ごめんごめん、こんなことしたことなくて、大丈夫?」 「うん、平気だよ」 「洋服、濡れちゃったから、お風呂にはいろっか」 「ありがと、、」 「一人で入れる?」 「入れる」 少年は一人でお風呂に入った。 雨に濡れた少年の服を乾燥機に入れ、汚れた水を洗い、乾かした。 「お姉さん、タオルどこ?」 風呂場から少年の声が聞こえた。 「ここだよ」 風呂場に駆け寄り.戸を開けたと同時に少年の体が目に入った。 少年の背中を見て羽鳥は息をのむ、、 少年の白い背中には蒼黒いあざが無数にあり、所々に小さな焼けたマルがある。 「この傷って親につけられたの、、」 羽鳥は恐る恐る少年に聞いた。 「違うよ、これは転んでできたんだよ」 羽鳥は体の傷についてこれ以上何も言えなかった。 「よし、お姉さんが体拭いてあげる!さっきよりは上手にできる気がする」 少年の体の傷を意識しながら優しくタオルで拭いた。 「ありがとう」 体が温まり、安心したのか少年のお腹がなる音が雨音に負けないぐらい部屋に響く 「そうだよね、お腹すいたよね、テーブルの椅子に座って待ってて」 羽鳥はコンビニで買ったカップスープにお湯を注ぎ、冷蔵庫の中から冷食のチャーハンを取り出し温めた。 「簡単なものしかなくて、ごめんね。即席中華!なんちゃって」 始めに少年を見た時と顔色も目の輝きも変わり、輝いている様に見えるち羽鳥は思った。 「いただきます!」 少年は勢いよくスープとチャーハンを食べてた。 何も食べさせてもらえていないのだと羽鳥は感じた。 「そういえば、自己紹介してなかったね、」 「うん」 「キミの名前聞いてもいい?あ、私は羽鳥莉都」 「僕は、丹多池歩(にたいけ あゆむ)」 「アユムくんかいい名前だね、今日はもう遅いから私のベッド使ってね」 「りつお姉さんありがとう、おやすみなさい」 歩は疲れているのだろう。直ぐに眠りについた。
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