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羽鳥 莉都
昨日の出来事が夢の事だとしてら不思議ではないのだけど、本当の出来事で、私は今、アユムくんと一緒にいるのだ。
ベットの上でぐっすり眠っているアユムくん。彼は今どんな気持ちでここにいるのかな、、
彼の事を警察に言えば解決するのだろうか、、
そうなったとき彼はどんな思いをして、何を感じるのだろう。
朝になればお腹を空かせてアユムくんが目を覚ますだろう。そう考えると体が勝手に動き出す。冷凍庫から食パンとベーコンを取り出し、あとは、、卵
今まで誰かのために料理をなんて考えていなかったから、こんなものしかないか、、
不意に母のことを思い出した。
朝、目を覚ますとテーブルの上には朝食があっていつもの席に座り何も考えないで食べていた。
母は毎日早く起きて朝ごはんを作って、お弁当を作って、晩御飯を作ってくれた。
父には文句ひとつも言わないで毎日休みなく、家族のために働いていたんだな、、
アユムくんが目を覚ます。
「おはよ~朝ご飯できてるよ」
「いただきます」
アユムくんは活きよい良く朝ご飯を食べる
「おいしい」
「ホント?ちょっと嬉しいかも」
こんな簡単なごはんでこんなにも喜んでもらえるとは思わなかった。
アユムくんのありがとうが心に染み込んでくる。
「りつ姉さん、片付けてつだうよ」
汚れた食器をアユムくんが片付けようとする、
小さな手から白く丸い円盤が床に吸い込まれるように落ちていく、
吸い込まれたお皿は綺麗に半分、さらに半分に割れた。
ガッシャーーン
「なんてことするの!」
私は大声で叫び右手を大きく振り上げ力の限り下に下ろそうとした。
「ごめんなさい」
その言葉に私はハッとした、
私は父と同じようなことを今、しようとしている。
彼は毎日殴られていることに気付きながら私は、、、
固着して、両手の拳を握る彼を見て、私は、父と同じなのだと思い知らされた。
不器用で、接し方がわからなくて、思い通りに行かないことに腹を立てて、
殴る、、
振り上げた右手で彼の背中を抱き寄せ、左手で、彼の頭を抱きしめる。
自然と頬に涙がゆっくりと流れ落ちてくる。
私も父と同じなのだ、、
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