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大人と子供のランチ
「朝はごめんね、お詫びにショッピングに行かない?」
アユムは戸惑いながらも誘惑には勝てない
「うん、いいよ」
「よし!決まりだね!それじゃ準備してくるね」
「うん」
羽鳥が部屋着から外着に着替える。
「あ、、、」
羽鳥は思った、アユムはボロボロの洋服しか持ていないと。
外に出て二人で歩いて駅に向かう。昨日の雨が嘘のようにあがり、
乾燥したアスファルトの熱気がゆらりゆらりと天に昇っている。
駅に着き電車に乗る、羽鳥は4年間一人、電車揺られ過ごした日々が頭の中に薄っすら
見えた、だがそれは一瞬にして消えていく。
羽鳥の手を小さな力が一生懸命に握ぎっている。
それが
なぜだか嬉しそうに笑みがこぼれた。
電車を降りて駅の改札をぬける。
羽鳥が言った。
「ねぇ、ショッピングモールにはなんでもある気がしていくだけで楽しくならない?」
アユムは少し黙ったが返事をした。
「行ったことないからよくわからない」
「そっか、そしたら驚きがいっぱいあゆむくんに訪れるかもね」
羽鳥は楽しくなっていた。今まで一人で生きることが当たり前になり、一人でいることに慣れてしまい、誰かと過ごす時間の大切さをひさしぶりに感じたからだ。
「おお」
アユムが目を大きく見開き、口を開けて言った。
「アユムくんの下着と洋服買わないと、洋服一枚じゃ大変でしょう?」
「いいの?ありがと」
「せっかくだからオシャレしなきゃね」
「うん!」
「これなんかいいんじゃないかな?シンプルでかっこいいよ」
「うん、」
「そしたらパンツはこれで、インナーはこっちかな、でもこっちもいいな」
羽鳥は夢中でアユムの服を選び、有無を言わさずいアユムに着せて確認する。
「あ、ごめんね、夢中になって勝手にアユムくんの洋服私が勝手に選んじゃった」
「いいよ、お姉さんが選んだ服どれもかっこいいもん」
「ホント?うれしいな、ねえ、お腹すいたね」
「うん」
「何か食べたいものある?」
「ええと、お子様ランチ食べてみたい」
「いいよ」
羽鳥は思った。やっぱり子供なのだと。
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