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羽鳥 莉都
そういえば、一度だけ家族で外出して食事した記憶がある。
あの時はどうだっただろう、母は何を食べてたかな、父はどんな顔をしていただろうか
薄くなった家族の思い出を思い出そうとしても思い出せない、思い出そうとすると白い靄が頭の中に出てきて家族の記憶を白く包み込み、手が届きそうで届かない距離に隠してしまったかのように、、
「アユムくん、初めてのお子様ランチどうだった?」
「うーん、りつ姉さん料理の方が美味しかった」
「そんなことないと思うけど、嬉しい」
帰りの電車でアユムは上を見ている。
羽鳥もつられてアユムの目線の先を見る。
「ああ、」
そこには動物園の広告があった。
「アユムくん、明日は動物園に行って見ない?」
「え?いいの?」
「うん、いいよ。それで、帰りは美味しいレストランで晩御飯にしよう」
「うん、行く!そうしよう」
「はい、約束ね」
「約束!」
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