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約束の果て
朝が来る、体が勝手に朝食の準備をしている。母がよく作ってくれたあの朝ごはんを
作りたいとおもい、頭の中の思い出を探しながら体が動く。
彼が目を覚ます時にはまた驚きの顔を見せてくれるに違いない。
玄関のチャイムが珍しくなる
誰かと思い玄関に駆け寄り扉を開ける。
偽りの生活は一瞬にして終わりへ向かって行くのだ。
「羽鳥莉都さんですか?警察のものでして、杉山と言います。お話聞きたいのですが、、心当たりありますね」
「え、、」
「先日から子供が家に帰ってこないと届け出がありまして、そしたらこの辺りで見かけたと連絡がありまして」
「あ、、その、」
杉山の後ろから先輩らしき男が待ちきれない様子で言った。
「中に入ってもいいですか?」
「いや、あの、、」
「アユムくん!いるんだろう出ておいで、もう大丈夫だよ」
大声を上げながら家の中に入ってくる。
羽鳥がアユムのそばに駆け寄ろうとするももう一人の杉山に腕をつかまれる
部屋の奥から大声が聞こえた
「りつお姉さんをいじめるな」
奥を見ると包丁を両手に握りあゆむがいた
「りつお姉さんをいじめる奴は僕が許さない!僕がりつ姉さんを守るんだ」
警察の男が言った。
「アユムくん落ちついて、もう大丈夫だよ。お父さんとお母さんのところにかえれるよ」
「いやだ、あの二人は僕をいつも殴るんだ!りつ姉さんは僕を助けてくれたんだ」
杉山は羽鳥の腕をはなし、行ってきなと小さく耳元で言った。
羽鳥は玄関からアユムの所まで駆け寄って行き、アユムを強く抱きしめた。
アユムは安心したのか、手に持っていた包丁を落とし、羽鳥の背中を小さな手で強く抱きしめた。
二人は警察署に連行された。
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