決戦の後

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決戦の後

剣士ディルは 瓦礫の中で目が覚めた 粉々になっていた天井から主を庇うように決戦前に託された大剣キョジンノアイクチがディル目掛けて倒れてきた柱に挟まりたゆんでいた。 それに気づき、命の危機を察したディルが危険な空間を抜け出るのを待ってたかのように、キィンと綺麗な音を出してキョジンノアイクチは折れて主の代わりに瓦礫に沈んだ。  その場を少し眺めた後、 ディルは自身の身のこなしを見始めた。 少し窮屈と思っていた太陽の兜haもう被っていなかったし、2メートル超の胴体にピッタリ着こなしていた闘将の鎧はかけらが下に着ていた服にいくつかくっついてるだけになっていた。 自慢の炎のように赤い髪とあご髭の中に入った砂を祓い、自分の無事を確かめた後、大柄の剣士は共に戦った3人の仲間を探し始めた。  青黒い肌と白目の部分が黒い赤い目を持つダークエルフのコンラッドは石の柱を背もたれにして寝ていたところ、自分の体がビクンと小さく強く跳ね上がる感覚で目を覚ました。 立ち上がろうとしても、体から気力もなくなっていた  普段から世界中央魔術学院第3位の男と自慢していたが、あれだけの激しい戦闘の攻めと守りを両立させねばならなかった戦況をうまく立ち回っていた自分を褒めたいのだが、今は呼吸することが精一杯だった。   目玉だけ動かすと左手に持っていた、古代遺跡で見つけた偉大な賢者が作った世界最高の杖『ユグドラシル』が、シロアリに食い荒らされたかのように粉々になっていた。右手にはドラゴンのなめし革で出来た神々の力を使える呪文の巻物を持っていたはずだが、軸として使われていた木の棒だけになっていた。  もうすぐ、死ぬのかも。  コンラッドは柄にもないことを考えた。今まで上位2人に妬みを持ったまま燻っていた自分があの悪夢王と戦って勝ったのだから、ここで死んだら後世の人々はどういうだろう?   ああ、賢くも美しい魔導のコンラッド。 世界に広がる悪夢を祓い、安らぎの朝日にて永久の栄光と安らぎを得たり。  我ながら素晴らしい文句が出来た。死神が来る前に腕を動かしてその辺に墓石に刻んでもらうための遺書したためる猶予くらい貰おう。  コンラッドが力を振り絞ろうとしたとき、熊のような巨漢の死神が太陽を背に表れ、コンラッドの頬を張った。
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