0人が本棚に入れています
本棚に追加
激痛に身悶えするコンラッドを死神に見えた巨漢のディルがダークエルフをビンタした手を痛そうに振りつつカラカラと笑った。
「迎えの死神がブスだったか、俺が叩く前に起きたか?」
「黙れ魔獣め! この世に繋ぎとめた命を死神に押し売りしようとしたな」
とコンラッドはヒュウヒュウと口から音を出しながら腐れ縁の死神ことディルに抗議をした。
「いいじゃねえか生きているから文句が言えて苦しめる
それよりお前すげぇかっこしてんな、ほぼ裸じゃねぇか」
なけなしの魔力で顎の痛みを治したコンラッドは我が身を改めて見た。100種類の守りのまじないが刺繍された紫のローブを着ていたのが今では下着もほとんど破けて辛うじて大事なところに残っているぐらいだったことに気づいた。
かくいうディルもシャツと穴だらけのズボン姿で、剣士として最強の防具オリハルコンの鎧は初めから着ていないようで、その下に着ていたミスリル製の帷子は肩に残っている程度だった。
その事をコンラッドに指摘されるもディルは態度を変えず「バッタもん掴まされた」と言ってコンラッドの隣に腰を下ろした。
青空と波をあげる海を男二人で何も言わずにただ眺めていた。不意にディルがしゃべり出した。
「...なあ、俺たちが倒したんだよな? あの悪夢王。ディザイドルつったか?」
「確かに倒したよ、私達4人でな」
コンラッドはまだふらつく体を立たせて瓦礫を見渡した。それに続きディルも立ち上がってズボンのほこりを打ち払ってから腹のそこから叫んだ。
「アイン! 小娘! どこだあ!」
お前から見れば世界中小娘だらけだとからかいながらコンラッドも声を張り上げた。
「王子! ベニコ! 返事をしてくれ!」
最初のコメントを投稿しよう!