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 迅雷を頭のうえにし、佐々木達也はにわかに眠りから起こされた。長く尾をひく雷鳴を耳にしながら、心臓の鼓動が異常に速いことを一身に感じる。寝汗で湿ったTシャツが、肌に張りついてうっとうしい。暗闇にHDDレコーダーが11:00の文字を浮かばせている。普段と違ったことをしたわけでもないのに、夕刻から強い眠気に襲われた。妙な目の覚まし方をしたせいか、軽く頭が痛む。腹立ちまぎれに舌打ちをして、達也はベッドから離れた。  稲光。一瞬にして気を奪われ、いっそうの動悸が全身をとらえた。瞬時に闇に戻った部屋が、次にくる轟音にそなえて張りつめている。昼のテレビで何気なく目にした予報では、一日中快晴だとしか流れていなかった。二分前、今日はキャンセル、とだけ記された幸弘からのEメールが携帯電話に受信されているのに気がついた。たかだか天気ごときのために、約束を反故にされたわけだ。 ――あの野郎、大勝亭のラーメンで決まりだな。  遠くで雷が低く鈍くくぐもっている。にやけながらも、ふたたび舌打ちが口をついて出た。     
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