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そう思ったのもつかの間、食事が終わると、さっそくパソコンを経由して、五曲の歌をダウンロードさせられた。途中、クレジットカードの番号などを問われドキリとしたが、このままでは明日聞けないと涙目でせがまれれば、誕生日だけという約束で許すしかなかった。
どんな曲を選んでいるのかとうえから盗み見るが、横文字だらけでわけがわからない。
「ダメ」
血相を変えて隠すあつしに今までにない何かしらの違和を感じた。いささか不安が残ったが、これも成長のしるしだ。そう考えれば、あとから喜びが頭をもたげはじめる。
あつしは今日という日を昨年末から熱心に話していた。大掃除の締め括りに香苗がキッチンのカウンター横に半年分のカレンダーを貼りつけようとしていると、素早く脇から自分の誕生日をチェックした。八月一三日、土曜日。翌日が休みだと知ると、遊園地につれていくようねだった。父ちゃんの休みに合わせたような誕生日なんてなかなかないんだよ、こんな日に思い出を作らなかったらいつ作んの、と囃し立て、早々に日付を油性の赤インキでいく重にも円く囲んでしまった。
今朝のあつしは実に溌剌としている。
プレーヤーにつづいて手に入れたプレゼントにあつしは舞いあがっていた。昨夜はいつまでも機械をいじっていたようだし、夜遅くに部屋から小さな歓声が漏れてきた。
「早く寝ないと明日なしだぞ」
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