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 遊園地が視野に入ると、あつしの興奮は一気に昂った。第一駐車場の出入口には満車の掲示板が派手に点滅していた。しようがなく車で三分ほど走ったところにある第二駐車場へむかった。 第二駐車場もすでにほとんどの場所が埋まっていて、やっと見つけたスペースは遊園地からもっとも距離を置いた一画にあった。 「こんな離れたところから歩くの」  香苗が文句を口にしながら車を降りる。あつしはまったくおかまいなしで、まだ遠くにそびえる遊園地の施設を目にして浮かれたっている。妻ははしゃぐ子どもの手をとり、落ち着くようにいい聞かせていた。 「使っていい」  プレーヤーを見せつけて了承を得ようとしているあつしは、香苗のどんな表情も逃すまいと注意深く見つめている。こんなとき妻は必ずこういうだろう。 パパがいるところでは駄目よ。  あつしの口の軽さは、父親の呼び方ひとつとってもよくわかる。それは悪気のないことだと認めている。咎めないことが父子の絆のもとになっているのは確かだが、ばれた際には気まずさに冷や汗を腋の下に感じる。宗像との約束も香苗の口止めも気持ちのいいくらいに忘れて話をするから、夫婦間での秘密は思った以上に筒抜けだ。     
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