2

6/13
前へ
/114ページ
次へ
 出かけに仏壇に供えてきた血まみれのプレーヤーが頭によぎる。宗像はあからさまに輪に交じることもできずに昂る気持ちを抑えながらも、コーヒーを飲んでいる素振りをしながら話に耳を傾けた。 「ホームページの検索サイトにプレーヤーへダウンロードする番組を集めた専用ページがあるの。そこに『unknown』っていう管理者がいて番組を配信してるらしいんだけど、なんでも珍しい番組を無料で提供してんだって。試聴は一切できなくて、そもそも意図してその管理者に辿り着くことは絶対できないんだよ。タグもないし、検索してもヒットするのは関係のないものばかりでさ。噂では検索サイト自体の関係者だとか、マイページを消したり立ちあげたりを繰り返している暇人だとか言われてるけど、正体は誰にも知られてないの。でもね。運よく……っていうのかな、とにかく『unknown』に行き着いたとしても、絶対にデータをダウンロードしちゃ駄目なんだって。ものは試しに、なあんてプレーヤーに落として聞こうものなら、呪われて死んじゃうって話だよ」  女の子は頬を紅潮させて、話し終えたことに満足げだ。周りも身を縮めて震えるまねをする者や、やはり単なる都市伝説だと冷ややかに振る舞う者もいたが、誰もがしっかりと聞きいっていた。 ――デジタル音楽プレーヤー     
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加