2

9/13

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
 安堵が宗像を包みこむ。胸のうちが軽くなると、都市伝説に怯えている自分に軽い笑いがこみあげた。パソコンを落とそうとマウスを操作したとき、宗像は目を見張った。ほかにもユーザー設定がされている。kanaeを終わらせ、もうひとつのユーザー名atsushiをクリックした。  パスワードに想像を膨らませる。あつしのことだから自分に関する数字、もしくは単語だ。やはり誕生日か。思いつく限りの日付を打ちこむが解除されない。案も尽き、もう駄目かとあきらめかけたとき、にわかに頭に浮かぶ言葉があった。 ――player  小学校で習う英単語のなかから、プレゼントのアピールに何度も見せられた言葉だ。綴りをそのまま入力したが変わりがない。プレゼントされた日にち――あつしの誕生日ならと、一文字ずつ丁寧にキーを叩く。ダメだ。遊園地に行った日――事故当日なら。息をのむ。あつしと香苗の顔が脳裏をよぎる。静かにエンターキーを押すと、Player0813でパスワードが解除された。  インターネットブラウザの閲覧履歴には検索サイトのURLが記載されている。似たようなアドレスを一つひとつ調べる。ゲーム、マンガ、テレビと次々にページが開き、ついにプレーヤーに関連したページが表れた。 ――あつしは噂を知っていたかもしれない。     
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加