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 女を肩に担ぎあげると、全力で駆けた。うしろから声をあげながら仲間が追いかけてきた。走っている途中、何度か背中から叫び声が飛んだ。そのつど横腹を殴打すると短い呻きとともに静かになった。建物のあいだ、積まれたゴミの山のうえに女を投げおろした。生ごみの臭いが鼻をついたが、俺にも、俺にやられる女にもうってつけだ。嫌がる相手の頬を殴りつけ、スカートを捲りあげた。露出した女の下半身を眺めていると、すでに自分の股のあいだが勢いよく脈打っていることに気づいた。女はもう動こうとはしなかった。ただ鼻をすすり、右腕で目を隠していた。穿いていたバギーパンツのジッパーを下ろした。仲間の声が聞こえた。 ――俺が、一番乗りだ。  快楽が全身を貫いた。耳から流れこむ音楽に合わせて腰を振り、ついには自分の欲を吐きだした。仲間の六人が代わるがわる快楽を味わう姿を見ながら、さらに湧きたつ欲望をふたたびはなった。自分のものか連れのものかもわからない精液にまみれてぶら下がっている性器を、?ぎとった女の衣服で拭うと、ようやく胸のうちを占めていた靄が晴れた気がした。  そのときの様子を携帯電話で録画したものをプレーヤーにいれて今でもひとり愉しむことがある。  ホームページ上の落語のタグを選択する。まったくの素人が自作自演で披露しているのもそれなりに笑えるが、噺家が演じているものはやはり楽しい。達也は数あるチャンネルのタイトルをうえからひとつずつ確認していった。一〇件ずつ表示されるタイトルを確かめて次の一〇件を表示させる。一〇件終わればまた一〇件と、延々つづく一連の作業をこなす。二〇〇件を過ぎたころ達也は見慣れないタイトルに思わず手をとめた。 ――『誰も知らない話』?     
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