6. 藤倉くんとスキンシップ

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「今日俺ん家来ない?」 「…ふぇ?」 帰りの電車の中、いつも通り車両の壁と藤倉に挟まれている俺はつい間抜けな声を出してしまった。 …家に誘われた。 藤倉とは今まで学校でしか会ったことはなく、一緒に帰っているとはいえ放課後や休日に遊ぶなんてことはなかったから、こんな風に誘われるなんてかなり新鮮だ。 「この前澤くんがやりたがってたゲーム。俺もやってみたくて、ちょうど最近買ったんだよね」 「マジで!行く行く!」 「きまりだね」 俺が若干食い気味に返事をすると、藤倉はふっと笑みを濃くして頷いた。 ていうか、こいつ俺が一言やってみたいって言ってたゲーム覚えてたんだなぁ。 というわけで、今日はいつも降りる駅よりひとつ先の駅で降りた。電車の扉が開き、俺の後に藤倉も続いて降りる。 「何か嬉しそうじゃね?」 「だって今日は電車でばいばいしなくてもいいからね。こんな一緒に居られるなんて夢みたいで」 「…そこまで?」 何故だか俺が遊びに行くことを大袈裟に喜んでいる。友だちとか今までいなかったのかな、こいつ。 「うわ、すっげぇ広い…」 友達の家に遊びに行くのは初めてではなかったが、藤倉の家は俺が今まで行ったどの家よりも群を抜いて大きかった。 外観からして大きな家であることは明らかだったが、家の中もその外観を裏切らない広さだ。 そして案内された彼の部屋は、とても男子高校生の部屋とは思えないものだった。 白と黒を基調とし穏やかで落ち着いた、清潔感のある部屋。広い…というか、物が少ないのかな。ベッドとか勉強机とかタンスとかはあるが、必要最低限のものしか無いから余計そう感じるのかもしれない。 漫画やら脱ぎ捨てた服やらが散らかっている俺の部屋とは大違いだ。 「すげー、ってかお前こんなでかいベッドで寝てんの?ホテルみたい、」 そう言って藤倉の方を振り向いた途端、視界がぐらりと傾き、とさっと軽い音がした。 背中にはふわふわとした柔らかな感触。 どうやら俺はベッドに押し倒されたらしい。 ぎしっと音を立てて藤倉が俺の上に覆い被さってきた。目の前にはいつも通りの穏やかな、しかしどこか妖しげな雰囲気を纏った端正な顔が…。
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