6. 藤倉くんとスキンシップ

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「ふじ、くら…?」 彼は何も言わず、シャツの隙間からするりと手が差し込まれる。藤倉が俺の脇腹をやわやわと撫でた。 く、くすぐったい…。 「ちょ、え?何?いきなり何すんの、」 「澤くんて帰宅部なのに何でこんな引き締まってるの?鍛えてる?」 「や、鍛えてるっていうか…たまに運動部の助っ人頼まれたりする、し…」 「ふうん」 いまいち状況が掴めないんだけど、いたずらかな…? 俺が話してる間も藤倉は脇腹を撫でる手を止めない。やや熱を持ち始めた手はそのまま上へ上へとゆっくり移動し始めた。 「ひゃっ?!」 手が脇の下辺りまで到達すると、変な声が出た。めちゃくちゃ恥ずかしいし、穴があったら入りたい…。 さっきまで楽しそうに笑っていた藤倉はいつの間にか無表情になり、くすぐったくて身を捩る俺をガン見している。 普段からヘラヘラしてるやつの無表情って結構…こ、怖い…。 藤倉の透き通った瞳の中には涙目で顔を赤くした平凡男子の顔が映るのみだ。 恥ずかしいやらくすぐったいやらで逃げたいのに、こいつに触られたところから熱を持ち身体の芯がじわじわと熱くなっていく。全身に力が入らない。 体勢も体勢なだけに、何か変な気分になってきた…。 「ちょっと本当、くすぐったいからやめ、」 「えー?」 俺が涙目になりながらも抵抗の意を示すと藤倉はいたずらっぽく目を細め、名残惜しそうに指先でつー、と臍の辺りを一撫でしてから漸く手を離した。 「…はぁっ、はぁっ」 「澤くんてばお腹弱いの?皮膚が薄いからかなぁ」 漸く起き上がりベッドの上で息を整えながら藤倉を睨み付けるが、奴はいつも通りのヘラヘラした表情に戻っていた。 何だったんだ、さっきの…。
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