4. 藤倉くんと球技大会

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残り時間30秒…20秒…10秒… バスッ 勢いよくシュートが決まった。 鳴り響く試合終了の合図。 「終了ー!!B組の勝ちー!!」 一年に二回行われる球技大会。 今回男子はバスケ、女子はサッカーだ。 決勝試合残り数秒というところで、俺は見事逆転シュートを決めた。体育館には既に敗退したクラスや、競技が終わったらしい女子も見学に来ておりざわついていたが、試合終了の合図の後一瞬の沈黙が訪れた。 「………マジかあいつ」 「わぁーー!!」 「すげぇっ!あいつやりやがった!」 「澤くんかっこいいー!」 「やっぱり運動神経やべーなぁ」 「澤ぁーー!よくやった!!」 次々に歓声が飛び交い、一斉にコートにクラスメートが集まる。 「いてっ!ちょっ!分かったから!」 肩を組まれ、背中をバシバシと叩かれ、頭をぐしゃぐしゃ撫でられ…もみくちゃにされるがとにかく皆喜んでくれてるみたいで俺も頬が緩む。昔っから身体動かすのは好きだったけど、こういう時特に運動出来て良かったって思うんだよなぁ。 「お前やっぱすげーよ!一瞬イケメンに見えたわ!」 「…何か複雑だわ。喜んでいいのかそれ」 優勝を喜ぶクラスメートの中に埋もれながら、一瞬背中にピリッとした視線を感じて振り返る。 「…気のせいかな」 ふと、彼の顔が浮かんだ。
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