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「なにごとよ、こんな時間に。これから風呂に入るってのに、何の用だい?」
「知人が階段から転げ落ちたって聞いて飛んできたんですけど、どうなったか知りませんか?」
「ああ、さっきのあれね。ものすごい音だったからビックリしたわよ」
どうやらこの女は、事故当時も家にいたようだ。
ついさっきまで煩わしそうにしていた女は、またも豹変。
今度は話好きのおばちゃんといったところか。こちらが胡散臭いものではないとわかり、警戒を解いたのだろう。
こちらから質問するまでもなく、次々と話し始める。
「雷でも落ちたのかと思って慌てて外に飛び出したら、そこに女の子が血を流して倒れてたのよ。それで、名前覚えてないんだけど二階の部屋の男がボーっと突っ立ってたから、『早く! 救急車!』って言ってやったのよ」
彼女は得意気に体験談を語る。
身振り手振りのゼスチャー。
感情のこもった抑揚。
ちょっとした演技派女優だ。すっぴんで部屋着のままだが。
この手の人種は話し始めると、本当に止まらない。
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