第10話 眠りから覚める女

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 寝起きに聞かされるには、きつすぎる一言だっただろうか。だが取り繕ったところで、遅かれ早かれ知る事実。後は彼女次第。  そして、沈黙を続ける彼女。  今日はもう、これ以上話を聞くのは無理かと諦めかけたが、どうやら彼女は気を取り直したらしい。しげしげと顔を眺めながら問いかけられた。   「……で? あんたは?」 「この人は鳴海沢さんだよ。今回助けてくれた人」  助けたつもりは全然ない。  駆けつけた時には搬送済みだったし、手当てをしたのは医者だ。  中澤の自首だって結果論。本当は、金を巻き上げてやるつもりだった。  そして今だって、こうして記憶を覗き見ている。  やれやれ、複雑な人間関係が垣間見えてきたようだ……。 「鳴海沢和真です。たまたま居合わせたってだけで、感謝されるようなことはなにもしてないよ」 「ひょっとして……、ついにできた? ユイにも彼氏が」  顔を真っ赤にする唯子。  この間記憶を見た時も、男の影を感じないなとは思っていたが、やっぱりか。  だが、誤解は速やかに解いておくに限る。 「川上さんとは別に――」 「な、鳴海沢さんは……えーっと、高校生に絡まれてたところを助けてもらったのよ。それから、部屋探しをお手伝いして、父のことでもお世話になって……。えーっと、それから……」     
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