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「あー……。こんな子だけど、よろしく頼むね。鳴海沢さん」
「だから、そういうんじゃなくて! ――」
ムキになる唯子。明らかに誤解がこじれた。
慌てず普通に否定すれば済むものを、なんであんなにうろたえるのか。
こうなると下手な否定は逆効果。放っておいた方がいいだろう。
「――こっちは鹿島 恵。高校の時からの付き合いで、一緒に演劇部だったんです……って、この話はしましたね」
「うん、さっき車の中でね。
その演劇部の先輩の自殺現場を目撃したんでお通夜に行ったら、川上さんとバッタリ顔を合わせて、その流れでここへきたってわけです。自殺の理由はまだわかってないみたいだけど、何か知りませんか? 鹿島さん」
ずいぶんと遠回りをしたが、わざわざここまで付いてきた目的はこれだ。
中澤の件はただ働きだったし、せめて価値ある情報を入手したいところ。
眠気も再び湧いてきたので、ストレートに問いかけた。
「メグでいいよ。先輩の自殺の理由かー……たぶん、アレじゃないかなー。口止めされてたけど、本人はもういないし……。いいよね、話しても」
「え? なんか、ヤバい話なの? メグ……」
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