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「ちょっと前にね、深刻な顔で相談されたんだ。お客さんのお金、使い込んじゃったって。絶対返さなきゃダメって言ったんだけど、もう使っちゃったから返せないって」
これは有力な情報かもしれない。苦労も報われたというものだ。
客の金の使い込み。発覚を恐れるあまり自殺。……充分にありえる。
使ってしまったということは、金が流れた先があるということ。もちろん、買い物をして使い果たしたという可能性もあるが、調べる価値は大いにある。
「私は、男の人のことで悩んでるって聞いたよ」
「えー、マジで? あたし、その話は知らないよ」
二人それぞれからの情報を併せて考えると、浮かび上がる一人の男。
まさか、再びあの男に用事ができるとは、思ってもみなかった。
どこかの湖にでも、沈められていなければいいが……。
「情報ありがとう。メグさん」
「『さん』とかいらないから。『メグ』って呼んで」
「高校入学の自己紹介でも、自分からあだ名指定してたよね。『あたしのことはメグって呼んで』って……クスクス」
「なによ、そんなことまで言わなくてもいいじゃない。だって、最初から気に入った呼び方指定した方が、みんなだって呼び方迷わなくていいし、あたしだって変なあだ名付けられなくて済むんだから、オールオッケーでしょ――」
昔話に突入か。必要な情報は得られたので、後は二人でご自由にどうぞ。
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