● ビコーズ・アイ・アム

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● ビコーズ・アイ・アム

 僕は「ただいま」と言ったつもりなのに、その泣き声は「初めまして」と響いた。  僕を抱く誰かは「お帰りなさい」と応えたのに、その声は「初めまして」と聞こえた。  僕は自分の泣き声が、「おぎゃあ、おぎゃあ」なのか「ニャア、ニャア」なのか分からなかった。そんなことはどうでもよかった。  ここは何処で、僕は誰かも分からなかった。なにしろ、まだ目も開いてないのだから。  そんなことはどうでもいい。なぜならば、僕は僕なのだから。  唯一分かることは、僕が改めて世界と繋がったってことだけだ。  新しい自分自身で。 「ただいま」 「お帰りなさい」 「初めまして」 「初めまして」   了
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