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「こんばんは」
振り向くと、爽やかで夏らしいワンピース姿の百合香さんと、アフロでサングラスの男性が大きくプリントされた黒のTシャツを着た孝臣さんが立っていた。
本体よりアフロの人の方が、かなり存在感がある。
むしろ百合香さんは今アフロの男性と歩いていると、周囲に人がいれば認識するだろう。
なんか私、孝臣さんに対して失礼な考えしか浮かばないな。
「奏楓ちゃん、大きなため息ついてどうしたの?」
「あー、聞こえてました?
すいません、そんなことでお二人の足を止めてしまって」
「私達は全然大丈夫なんだけど、ちょっと気になっちゃってつい声をかけたの」
百合香さんはいつも通りのほんわかとした笑顔を見せた。
その笑顔を見ていると自然と言葉が口から溢れていた。
「実は、少し悩んでまして・・・あの、私、告白をしてもらったんです。
その人、大人で気遣いが出来て、お付き合いしたらきっと大事にしてくれるんだろうなぁって素直に思えるような、もうなんというか私なんかにはもったいないくらい素敵な人なんです」
2人も知っている人だったので、あえてそれが理人さんだということは伝えずに話を進めた。
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