ハナミズキ

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「素敵な人なんですけど・・・私、最低なんです!人間のクズなんです! ・・・全然別のことばかり考えてしまって」 「別のこと?」 百合香さんがかわいらしく小首を傾げ、自分の頬に右手を添えた。 「はい・・・別の人のことが頭をよぎってしまって」 そう言った私は、財布を持つ手に思わず力が入る。 「でもその人、イジワルなんですよ? 何考えてるか全然分からなくて、いつも振り回されるし。 なんか、懐いたと思ったら急に寄りつかなくなる猫みたいな。 あ、昔近所に住んでた子が飼ってたロシアンブルーに似てるんです!」 すると突然、百合香さんが「ふふふっ」と笑い出した。 「すいません、私しゃべりすぎましたよね」 「違うの。その猫さんのことを一生懸命話してる奏楓ちゃん見てたら、かわいいなって思って」 そう言われて急に恥ずかしくなり百合香さんから視線を外して、代わりにサングラスアフロを見た。 アフロパワーで少し冷静になれた気がした。
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