191人が本棚に入れています
本棚に追加
「素敵な人なんですけど・・・私、最低なんです!人間のクズなんです!
・・・全然別のことばかり考えてしまって」
「別のこと?」
百合香さんがかわいらしく小首を傾げ、自分の頬に右手を添えた。
「はい・・・別の人のことが頭をよぎってしまって」
そう言った私は、財布を持つ手に思わず力が入る。
「でもその人、イジワルなんですよ?
何考えてるか全然分からなくて、いつも振り回されるし。
なんか、懐いたと思ったら急に寄りつかなくなる猫みたいな。
あ、昔近所に住んでた子が飼ってたロシアンブルーに似てるんです!」
すると突然、百合香さんが「ふふふっ」と笑い出した。
「すいません、私しゃべりすぎましたよね」
「違うの。その猫さんのことを一生懸命話してる奏楓ちゃん見てたら、かわいいなって思って」
そう言われて急に恥ずかしくなり百合香さんから視線を外して、代わりにサングラスアフロを見た。
アフロパワーで少し冷静になれた気がした。
最初のコメントを投稿しよう!