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アフロをじっくり見ていると、そのTシャツに興味を持ったと思ったようで、百合香さんが「あぁ、このTシャツいいでしょ?」と微笑んだ。
それに対して苦笑いしながら「はは、そうですね」と返答していると、今まで黙っていた孝臣さんが百合香さんに何かごにょごにょ言い始めた。
相変わらず声が聞こえないなと思い、そのままごにょごにょ待ちをしていると、百合香さんは「うん、うん、そうね」から始まり、「やだー、もう!ふふっ」と最後には照れている。
「あのー、なんておっしゃってたんですか?」
「たっちゃんがね、『自分がどうしたいかを1番に考えて、言いたいことを思い切って言えばいいんじゃないかな?
これだけ悩んでるんだから、相手の人も分かってくれるよ。
僕も周りを気にせず自分に素直になって、気持ちを頑張って伝えたら、こんなに素晴らしい人と一緒になれたんだ』だって!」
このかわいらしい百合香さんがなぜ孝臣さんを選んだのか、なんだか少しだけ分かった気がした。
「・・・なんか、勇気出ました。ありがとうございます」
ぺこっと頭を下げて、2人と別れた。
自分に素直になる、私に足りなかったものは正にそれだ。
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