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扉から、スーツケースを手に持った理人さんが入ってきた。
チラリとスーツケースに目を向けると「この後このまま帰ろうと思って。あ、急かしてるんじゃないよ、ごめんね」と笑いかけてくれた。
それに対して「いえ、こちらこそ寄ってもらってすみません」と言いながら立ち上がった。
スーツケースをベンチの横へ並べてから座る理人さんの様子を見て、私も再度ベンチへ座る。
「今日は星が綺麗だね、先週来た時より多いね」
「そうですね、先週なんて全然無かったですよね・・・あ、もしかしてこの前私が、結構星出てるなって適当に言ってたのバレてました?」
「はは、まぁね。でもオレも結構余裕無かったから、そのことには触れなかったけど」
はぁ、私嘘つき最低女だ。よくこんなやつに、告白してくれたなぁ、理人さん。
・・・はっ!そうだ告白の返事!
「・・・あ、あの!!」
自分で思っているよりも、大きな声が出てしまった。私の喉のボリューム調整機能は、バカになってしまっているようだ。
少し咳払いして、ボリュームを戻す。
「あの、この前のことなんですけど・・・」
今度は段々と声が小さくなっていった。
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