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理人さんがいなくなり屋上で2人きりになる。
・・・気まずい。何を話したらいいんだろう。
なんならこのまま部屋へ帰ってやろうかと思ったとき、日向が口を開いた。
「なんかオレに言うことあるんじゃないの?」
「えっ?!でもさっきの聞こえてたんじゃないの?!」
いつの間にかちゃっかりベンチに座っている日向に向かって、早口で言う。
「だってオレに直接言った言葉じゃないから、知らない」
意味の分からない理屈で、なぜか告白を強要されている。
そもそもそれは促されて言うものなのか?
「橘に言えるんなら、オレにも言えるでしょ」
「いや、あのときは、勢いとかその場の雰囲気もあって、つい」
焦りながらそう答えた。
「ふーん、じゃあもういい。おやすみ」
日向はベンチから立ち上がって、そのまま出入り口へゆっくりと歩いていく。
「え、じゃあもういいってどういう・・・」
私の言葉は扉のバタンという音で遮られた。
・・・本当に出て行ってしまった。
普通この状況で出て行く?
ありえない!意味分かんない!
「あぁ、もう!」
私の足は自然と走り出していた。
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