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今から数ヶ月前の2月末、とある居酒屋。
「えぇっ?!転勤っ?!」
店のど真ん中の席で、同期の麻田が叫んだ。
「麻田、うるさい」
かなり久しぶりに飲みに来たオレは、真正面に座るそいつを睨みながら言った。
「あぁ、悪い。
それで、橘はいつから転勤なんだ?」
麻田はオレに謝った後、橘の方へ視線を向ける。
「辞令出るまでは内密にしてほしいんだけど、4月1日付けで新しく出来る支店に異動になる。
ただ、実際は準備とかあるからその1、2週間前には向こうへ引っ越すよ」
「まじか!行く前にお別れ会してやるからな!
な、百瀬!お前もお別れ会するだろ?」
「まぁ、気が向いたら」
冷たいだの、それでも同期かだの、麻田が何か言っているが、全て無視してハイボールを口に含んだ。
「橘、今から大変だな。
こっちでやってる仕事の引き継ぎだろ、向こうでの準備だろ、あと、引っ越しもか。
うわぁー、ヤバイな。まぁ、がんばれ!」
オレに何を言っても無駄だと諦めたのか、麻田は話を戻した。
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