《番外編》クローバー

3/21

192人が本棚に入れています
本棚に追加
/148ページ
今から数ヶ月前の2月末、とある居酒屋。 「えぇっ?!転勤っ?!」 店のど真ん中の席で、同期の麻田(あさだ)が叫んだ。 「麻田、うるさい」 かなり久しぶりに飲みに来たオレは、真正面に座るそいつを睨みながら言った。 「あぁ、悪い。 それで、橘はいつから転勤なんだ?」 麻田はオレに謝った後、橘の方へ視線を向ける。 「辞令出るまでは内密にしてほしいんだけど、4月1日付けで新しく出来る支店に異動になる。 ただ、実際は準備とかあるからその1、2週間前には向こうへ引っ越すよ」 「まじか!行く前にお別れ会してやるからな! な、百瀬!お前もお別れ会するだろ?」 「まぁ、気が向いたら」 冷たいだの、それでも同期かだの、麻田が何か言っているが、全て無視してハイボールを口に含んだ。 「橘、今から大変だな。 こっちでやってる仕事の引き継ぎだろ、向こうでの準備だろ、あと、引っ越しもか。 うわぁー、ヤバイな。まぁ、がんばれ!」 オレに何を言っても無駄だと諦めたのか、麻田は話を戻した。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

192人が本棚に入れています
本棚に追加