192人が本棚に入れています
本棚に追加
/148ページ
「確かに結構バタバタはしてるな。
まぁ、でも向こう行ってからの方が忙しいんだろうけど」
そう言って焼き鳥をつまむ橘の顔には、少し疲れが見える。
一串食べ終えると「なぁ、百瀬」と控えめにオレに話しかけた。
「前にさ、引っ越し考えてるってちらっと言ってたよな?」
「んー、まぁ、急ぎではないけど」
「良かったら、オレが引っ越した後にそこ住む?
家主も良い人だから話通しとくし」
「あー」と言って色々考えていると、麻田も賛同してきた。
「絶対その方がいいって!
お前今通勤時間片道だけで2時間くらいかかってるんだろ?」
「そうだけど」
「近くに住んだらその分寝れるんだぞ?!布団と今よりもっとお友達になれるんだぞ?!」
「いや、別にそれはいい」
暑苦しく力説する麻田を軽くあしらう。
「一度見に来てみないか?
結構住みやすいと思うんだけどな。通勤時間も30分くらいだし」
橘のその言葉に少し迷ったが、ひとまず見に行くだけならと思い近々お邪魔させてもらうことにした。
最初のコメントを投稿しよう!