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次の日の朝、家の鍵を開けて中に入ると妹の莉乃がオレを出迎えた。
「お兄ちゃん、おかえり!
久しぶりの飲み会楽しかった?」
朝から元気だなと思いながら、先程の質問へ肯定の意味で少し微笑む。
「どこか出かけるの?」
今日は土曜日で、現在の時刻は7時20分。
莉乃はすでにパジャマから、お気に入りと言っていた薄いグレーのニットワンピースに着替えていた。
「うん、お友達と水族館に行くの」
嬉しそうに答える莉乃。
「あ、でも大丈夫だよ?
大勢で行くし、場所も遠くないし、携帯も持ってるし、私の事情も知ってくれてる子ばかりだから」
オレはどこか出かけるのか聞いた後に、毎回必ず大丈夫かと聞くので、今回はそれを聞かれる前に慌てて答えたようだ。
それでもやはり心配なものは心配だ。
ただ、こうして友人と出かけられるようになった莉乃にオレの心配な気持ちを押しつけれる訳もなく「そうなんだ」とだけ返す。
それからミネラルウォーターを冷蔵庫から取り出して、コップに注いで一気に飲んだ。
脱いだコートを手に持って自分の部屋へ行こうとすると、莉乃に呼び止められる。
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