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蓮との出会いは、今から2年前に遡る。
当時のオレは実家から徒歩圏内のマンションで一人暮らしをしていた。
その為、晩ご飯に呼ばれることも多くあり、タイミングが合えば行っていた。
この日も丁度家に帰るタイミングで連絡が来たので、会社から直接実家へ行った。
到着したのが早かったようで、リビングのソファーで座ってご飯が出来るのを待っていたそのとき。
「お兄ちゃん、聞いて!聞いて!」
莉乃が自分の部屋から出てきて、手をぱたぱたさせながらオレの隣に座る。
「実はね、今日蓮くんと両思いになったの」
少し恥ずかしそうに報告してくる莉乃の頭にぽんと手を置いた。
「ずーっと蓮くん、蓮くん言ってたから良かったね」
「そんなに言ってないよー!」
中学1年で彼氏か、節度はわきまえろよ、と思い複雑な気持ちになった。
「あ、このことはみんなに秘密ね」
急に小さな声になり、右手の人差し指を自分の口元へ当てた。
父さんが聞いたら倒れそうだなと思いながら「分かった、分かった」と伝える。
その答えを聞いて、莉乃は満足そうに笑った。
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