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次の日の仕事中、マナーモードにしていた携帯が鳴った。
仕事用の方ではなくプライベート用の方だったので、ディスプレイで名前だけ確認してまた机の上に置いた。
電話は一度切れたが、またすぐかかってきた。
コールも長かったので止むを得ず携帯を掴むと、席を立ちオフィスを出る。
誰もいない休憩室まで行って電話に出た。
「なに、母さん。仕事中だから手短にしてね」
「ひ、日向・・・」
電話口の母親の声はひどく震えていた。
「どうしたの?」
「莉乃が・・・り、莉乃が!」
「落ち着いて、ゆっくりでいいから」
「莉乃が、事故に遭ったの」
・・・・・え?
一瞬頭が真っ白になったが、ひとまず莉乃が治療を受けている病院の名前だけ聞いて電話を切った。
さっき聞いたことは夢か現実か、落ち着かない気持ちのまま仕事へ戻った。
オフィスに戻るとすぐ上司の元へ行き「今少しよろしいですか」と言って、事情を説明し午後から早退させてもらうことにした。
気を抜いたらまた真っ白になってしまいそうな頭をフル回転させて、午前中いっぱいで切り上げられるよう仕事に取り組んだ。
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