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「両思いに、なったんだよね。莉乃が嬉しそうに話してた」
「そうですか・・・まぁ、今は片思いに戻ってしまいましたけどね、ははは」
自嘲気味に笑う蓮を見て、胸が痛んだ。
「・・・莉乃が事故に遭ったの、オレのせいだから。
あの日、ほんとは車で送る約束してたけど、前日に急に断って。
それで1人で行って、その途中事故に遭った」
「え?」
「オレがちゃんと約束守って送ってたら、事故は起こらなかった」
「なんだよ、それ!」
蓮は怒って、オレの胸ぐらに掴みかかった。
「なんで、送ってやらなかったんだよ!」
「仕事優先した」
挑発するような口調でそう伝える。
「は?莉乃よりも仕事が大事なのかよ!」
「そうなのかも、な」
「ふざけんなっ!
お前のせいで、お前のせいで莉乃は!!」
胸ぐらを掴んだままオレを壁にドンッと押しつけたところで、蓮は突然力を緩めて走って帰って行った。
・・・それでいい。
どこにもぶつけようがない感情を、オレにそのままぶつければいい。
それが償いになるのなら。
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