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そこからのオレは、彼女も作らず飲みにも行かずひたすら莉乃を支えた。
仕事が終わったら真っ直ぐ帰り、時間の限り出来るだけ一緒にいた。
泣き叫び、塞ぎ込んでいた莉乃は、実家を引っ越し環境を変えた影響もあってか少しずつ落ち着いて、元の明るい女の子に戻っていった。
外に出ることも、再び学校へ通うことも出来るようになった。
そんな莉乃の勧めもあってまた一人暮らしを始めて、そこでオレは奏楓に出会った。
表情がころころと変わる奏楓にどんどん惹かれていっていることは、自分でも気付いていた。
ちょっかいをかけて彼女がムキになる姿を見るたびに、オレは小学生かと思いつつ、近くにいたら触れたくなった。
まぁ、頭をぽんと触ってしまったことがあったけど、すぐにその場も自分のことも誤魔化した。
よくそれで抑えれたと、自分を褒めてやりたい。
でも、オレには蓮とのあの約束がある。
莉乃より先に幸せになってはいけない。
自分でもそう思ってる。
だからこのままお隣さんとして奏楓の側にいれればいい、そう思っていた。
だが、あいつはそれさえも超えてきた。
オレに色々と叫び散らして帰っていった。
もう抑えきれなくなって、ついにオレは奏楓に付き合ってと言い、蓮との約束を破ろうとしてしまった。
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