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「・・・日向!聞いてる?」
「たぶん、聞いてる」
「そこは、嘘でもちゃんと聞いてるって言うとこでしょー!」
「嘘でいいの?」
ニヤッとしながら言うと、奏楓は「そ、それは言葉のあやってやつで」としどろもどろになる。
そんな奏楓の頭を「ははっ」っと笑って、そっと撫でた。
「てか、これ持つ」
奏楓が持っていた画用紙を全て手から抜き取り、自分のカバンと一緒に片手で持つ。
「あー、そんな雑に持たないでよ!端っこ折れそうになってる!」
「だってこれ邪魔。手、繋げないから」
そう言って奏楓の小さな手を握ると、「もう!」と照れた表情をした。
抱きしめたい衝動に駆られたが、家までは我慢することにする。
オレは今幸せだよ。
今度はそっちが幸せになる番だね、蓮。
FIN
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