ライラック

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自分が住んでいる401号室の隣の部屋を見つめ、今日のお昼にトリップしたことを思い出した。 あれからまだ1ヶ月も経ってないんだな。 なんかすごく遠い記憶に感じる。 「邪魔なんですけど」 いきなり声がしたので、驚いてその場から飛び退く。 声の主を見ると、男の人が気だるそうに立っていた。 柔らかそうな髪の毛に、上品で綺麗な二重の瞳。 整った中にどこか可愛らしさも持つ顔立ちだった。 昔近所の同級生が飼ってたロシアンブルーに似てるな。撫でようとしたらめちゃくちゃ嫌がられたっけ。 そんなことを考えていると、彼は402号室の鍵を開け中に入っていった。 ・・・あ、新しい人越して来たんだ。 少しだけ寂しい気持ちになる。 いつ越してきたのかな? ・・・ていうか、今さらだけど第一声が邪魔なんですけどってどういうこと?! 普通こんにちはでしょうがぁ! こんにちは、邪魔なんですけど退いてくださりますかお嬢さん、でしょうがぁ!! 一度考え出したら急激にイライラしてきた。 なんなの、あのロシアンブルー男は!!! 雰囲気も猫っぽかったし。 よし、彼を猫男と命名して差し上げよう。 誰も頼んで無いのに勝手にあだ名を付けて怒りを収め、自分の部屋へ入った。
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