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次の日のお昼。
私は同じマンションの301号室にいる。
ここは、職場の同期の桜庭 葵の部屋だ。
保育士は短大出身者が多いのだが、他に同期が何人かいる中、
彼女は私と同じで四年制大学卒業の同い年ということから始まって意気投合した。
つい1年ほど前までは実家暮らしだったようだが、ここに空きが出たので引っ越してきたのだ。
ここの方が職場に近いし、何かあったら私に助けてもらえるしという理由で。
助け合いという精神はないのか。
実家の方が助けてもらえるじゃないか。
そう思ったことは言ってないし、これからも言わないつもりだ。
いや、言わせてもらえないというのが正しいのかもしれない。
そんなこと言おうものなら、言い負かされるに決まってる。
「ちょっと、聞いてる?絶対聞いてなかったよね?
この前のお昼寝の時間のときもぼーっとしてたでしょ。隣の保育室から見てたんだからね」
あなたの紹介をしてあげてたんですよ、葵さん。
とは言わず、「ごめん、何だっけ?」と返す。
「今日は大沢さんのホームパーティだから、お昼は軽めにしとこうかって言ったの!」
大沢さんとはこのマンションのホームパーティ好きの家主のこと。
旦那さんは純平さん、その奥さんは美子さんという名前だ。
ホームパーティは不定期開催だが、開催の数日前にはきちんとお知らせがくる。
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