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振り返ると、制服をどこかラフに着崩してメガネをかけた男子生徒。
春彦先輩と瓜二つの3年生。
秋羅先輩。
春彦先輩の弟。
一卵性の双子のかたわれ。
校内のモテツートップといわれ、春彦先輩と人気を二分する。
何度見ても、区別つかないほどに似てる。
でも秋羅先輩は笑顔をほとんど見せない。
騒がれるのも嫌いだし、女子とはほとんど話さない。
強豪校であるバスケ部のスタメンのせいか、クールでストイック。
だから女子たちは、春彦先輩派と秋羅先輩派に大きく分かれる。
今も、周りの女子部員が2人を見て、どっちが好きって囁きあってる。
「どうしたの、アキ」
「英単語帳、忘れたろ。お前んとこの女子がオレに届けに来た」
「そっか、ごめんね」
そう言って春彦先輩は秋羅先輩の肩に手を置いた。
やっぱり先輩は、弟にも優しい。
そう思っていると、秋羅先輩が私を見た。
慌てて軽く会釈する。
ふいっと視線をそらされた。
女子への接し方は、春彦先輩とは雲泥の差。
「1年生は片付けしたらもうあがって」
春彦先輩はそう言うと、秋羅先輩とともに歩き出した。
2人並ぶとすごい存在感。
美形の双子に、私だけでなく女子みんなの口からため息がこぼれた。
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