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第二章 追い打ち
朝の満員電車は文字通り地獄だ。
ありえないほどの人口密度。そこにぎゅうぎゅうに押し込められ、パーソナルスペースなど何のその、見知らぬ他人と触れあいながら目的の駅へと向かう日々。しかも行先は会社だ。なんのために通うのか分からなくなっている楽しくもなんともない職場に向かうために、朝から連行される奴隷のような自分。
昨日はあのまま寝付いてしまったリュウのせいでフローリングの床で寝るはめになり、全然疲れがとれていない。揺れる車内と穢れた空気の中にいると、もう仕事になんて行きたくないと痛切に思う。気持ち悪い。少し吐き気もする。朝食は少ししかとれなかった。
だけど本当のわたしは奴隷なんかじゃない。行きたくないなら一日くらい仮病を使って休んでしまえばいいのだ。目的の駅で降りないことだってできる。会社を辞めることだってできる。わたしには選択肢はいくらでもある。ロボットではないのだし、自分の意志でどうにでもなる。
なのだが、気づけば毎朝同じ時間、同じ電車に揺られている自分がいる。そして同じ駅で降り、決まった時間に職場に入る自分がいる。
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